『半身』
今年7冊目の本を読了〜☆
『半身』 サラ・ウォーターズ
おもしろかった!という言葉では言い尽くせません。
ここ最近で、というよりここ数年で、いちばん衝撃的な小説でした。
なんとも不思議な雰囲気の作品。
冒頭からすっかり引きこまれました。
しかも読んでいくうちに、どんどん印象が変わっていくんです。
最初は「歴史ものかな…」
「あれ、なんだかファンタジーっぽくなっていくぞ」
「ああ、ロマンスなのか」
「えっ、これはミステリー!?」
と、とにかくいろいろな要素がつまっていて、それがうまく調和して不思議な世界観を生み出しています。
あとがきの言葉がまさにぴったりです。
『人でも本でも、その本質が謎に包まれているほど、魅力的だと思う。
これはどんな本なのだろう――読み進む間、それがずっと不思議だった。
歴史小説だろうか。ラブストーリーだろうか。ゴシックホラーだろうか。ミステリだろうか。
そして最後の最後に、ああ、とわかる。ジャンルは〈謎〉なのだと。』
すべての謎が最後に気持ちいいほどきれいにつながった瞬間の衝撃は、半端ないです。
読み終わって、しばらくドキドキしていました。
こういう経験ができるから、読書はやめられません。(>_<)
作者のサラ・ウォーターズは、イギリスの作家で、ブッカー賞に何度もノミネートされてるとか。
とにかく文章がすてきです。
淡々としていて、どこか憂いを帯びていて。
翻訳が上手なのかもしれませんね。
とても読みやすかったです。
それと、どことなく漂う「狂気」。
これ、私の読書におけるキーポイントかもしれません。
ぞっとするような人間の狂気がひそかに描かれている作品ってものすごく惹かれます。
この作品では、なんとなくヴァージニア・ウルフの作品と似たような狂気を感じました。
とくに後半。
語り手のマーガレットが、監獄で出会った霊媒師のシライナに夢中になっていく部分とか。
とにかく、久しぶりにページをめくる手を止めたくなかった作品でした。
さて、次に読む本はもう決めてあるんです☆
映画化されて、最近話題のアレです。
ずっと前に買ったきり、本棚に眠っていました(^^;
映画が公開される前に読み終わるかな??